「自分のカホンを手に入れたい」と思って、どんなカホンがあるのか調べてみると、有名メーカーから手作りの工房までたくさんのメーカーとカホンが見つかると思います。
多くて、初めて選ぶときは迷ってしまうかもしれません。
そこでそんな方の参考にに、人気カホンメーカーの中から私がおすすめだと思うメーカーSchlagwerk(シュラグベルク)、De Gregorio(DG)、MEINL(マイネル)の3社についてご紹介します。
各社の特徴と、それぞれのメーカーの初心者向けエントリーモデル、そしてミドルクラスからポップス・ロックなどのジャンルで使いやすそうなモデルをピックアップしてご紹介していきます。
おすすめのメーカー3社のラインナップ比較
カホンの人気メーカーからここでご紹介するのは、Schlagwerk(シュラグベルク)、De Gregorio(DG)、MEINL(マイネル)の3社です。
シュラグベルクはカホンに特化したパーカッションメーカー、DGはスペインのカホンメーカーで、どちらもカホンの実績があり魅力あるカホンが揃っていると思います。
またマイネルは大手パーカッションメーカーですが、スペインのカホン職人の巨匠Jose Hernandez Diaz(PEPOTE社)と提携関係から新しいこだわりのカホンが作られるようになりました。
そんなところからカホンを探す方は、まずこの3社を検討してはどうかと思うのです。
早速ですが、シュラグベルク、DG、マイネルについて、扱っているカホンのラインナップを調査した結果を図にまとめました。(2024年9月時点)
- 図に記載しているのはカホンのシリーズ名で、それぞれに複数のモデルが含まれます。
- カホンの価格はほとんどが1万円~10万円の範囲にあります。
- ネットで1万円以下で見つかるカホンは、ミニカホンやおもちゃに近いものと考えた方がいいと思います。楽器としてカホンを楽しみたい場合はあまりおすすめしません。
- 上級機種の一部や限定品には10万円を超えるものもあります、
- 初心者向きのエントリーモデルとされているものを「ピンク」にしています。大体1万円台後半~2万円台です。
- ハイエンド、最上級クラスとしているものは、メーカーにもよりますが7万円~の価格帯でした。
- エントリーモデルとハイエンドの間、3万円~7万円がミドルクラスと言えそうです(この記事ではこの価格帯をミドルクラスと呼びます)。
ここが一番種類が多くて、初心者でも鳴らしやすいカホンからプロも使うカホンまで、いろいろ揃っています。 - ポップス、ロックなどのジャンルでドラムパターンを叩くのに使いやすそうなモデルを「黄緑」にしました。
フラメンコなどに使う場合は、別のモデルの方が使いやすいかもしれません。
各社でどんなカホンがあるのか、全体像をつかむ参考にこの図をご覧いただけるといいかと思います。
各社の特徴と注目のカホン
ここからは、各社の特徴とおすすめ・注目のカホンをご紹介していきます。
シュラグベルク
特徴
シュラグベルクは1982年創業のドイツのパーカッションメーカーで、特にカホンで知られています。
最初のカホン、ラ・ペルーが世界的にヒットしたことからシュラグベルクの名前が知られるようになりました。
シュラグベルクのカホンは高品質な素材が使われ、豊富なモデル展開、独自の技術と洗練されたサウンドが特徴です。
2024年9月時点のラインナップはこんな感じになっています。
- EVOはサウンドを追求したハイエンドモデルです
- ファインライン・コンフォートも上級機種で、ボディを高級ドラムシェルと同じ継ぎ目のないカーブとすることで鳴りを追求したモデルです
- ラ・ペルーはペルーのカホンをもとにデザインした源流的なカホン
- 2 in Oneはスネアと同じスパイラルタイプの響き線を採用し、ドラムパターンの演奏に最適のモデルです
- URBAN OSはワイルドな外観と重低音のストリート系カホン
- アジャイル/スーパーアジャイルは、響き線がコイル線タイプで、早くタイトな反応が特徴です
2 in Oneは種類が一番豊富で、様々なニーズに応えるモデルが揃っています。ドラムパターンの演奏をするのに向いていて、はじめてシュラグベルクで検討するなら一番おすすめだと思います。
シュラグベルクのカホンは下の記事で詳しく紹介していますので、興味のあるかたはぜひご覧ください。
次から、初心者向きモデルとミドルクラスからおすすめのカホンを見ていきましょう。
初心者向きエントリーモデル Rudiments
SR-CP80、SR-CP90、SR-CP91
- サイズ:W30×D30×H50cm(フルサイズの標準的なもの)
- 材質:打面はバーチ材、側面はSPL複合材
- 響き線:スネアタイプ(スパイラル)20線×2セット、固定式
- 価格:SR-CP80は16,000~19,000円、SR-CP90、SR-SP91は23,000~30,000程度(2024年9月時点)
Rudimentsは叩いたときの反応性、アタック感など、初心者が楽器を始めるときに必要な基本を兼ね備えた楽器を作るというコンセプトで作られているそうです。
響き線にスネアと同じスパイラルタイプが使用されており、スナッピーなスネアサウンドと、響き線のないバスドラの音が再現できるつくりになっています。
ドラムパターンを演奏するのに向いているので、ポップスやロックなどのジャンルの方には使いやすいのではないでしょうか。
はじめてなので出来るだけ安く購入したいという方に、低価格でシュラグベルクのカホンが入手できるモデルです。
ミドルクラスからピックアップ「2 in One」
シュラグベルクのモデルはたくさんあるので選ぶときに迷ってしまいますが、私がミドルクラスで一番おすすめだと思う2 in Oneについてご紹介します。
「2 in One」で最も標準的なCP404
- サイズ:W30×D30×H50cm(SR-CP404)、W30×D30×H45cm(SR-CP403)
- 材質:バーチ材
- 響き線:スネアタイプ(スパイラル)40線、着脱可能
- 価格:31,000~40,000円程度(2024年9月時点)
2 in Oneはスネアと同じスパイラルタイプの響き線が使われていて、Rudimentsと同様にドラムパターンをドラムのように演奏するのにとても適したシリーズです。
もちろんエントリーモデルのRudimentsと比べると、響き線も素材も構造もすべて上のつくりになっています。
ポップスやロックのジャンルで演奏する方にはとてもおすすめです。
2 in Oneの中でこのCP404は最も標準的で手ごろな価格のモデルでです。
アコースティックな暖かみのあるサウンドでバランスがよく、扱いやすいと言われています。
これ以外にも2 in Oneには様々なバリエーションがあり、多様な素材の打面、手が痛くなりにくい”ソフトタッチ仕様”などもあります。
下の記事で詳しくご紹介しているので、興味あるかたはぜひご覧ください。
【カホンのおすすめメーカー】シュラグベルク社のおすすめカホンと選び方(2 in Oneへのリンク)
プロも現場で使うモデル「2 in One Deluxe」CP432
- サイズ:W30×D30×H50cm
- 材質:打面はエボニー、側面はSPL合成材
- 響き線:スネアタイプ(スパイラル)84線、着脱可能
- 価格:50,000~63,000円程度(2024年9月時点)
少し価格の高いモデルですが、これほんとにいいので紹介させてください!
私も使っているのですが、プロパーカッショニストの方が現場で使っていて、この価格で上級機種並みの性能があるのはとてもコスパ良いと思います。
一番の特徴はずっしりと響くベース音です。
叩くと体にも重低音感が響いて、頼りがいのある低音、ベースのきいたドラムサウンドがとてもよいのです。
バンド演奏の時にしっかりとしたベースが鳴らせるのも、メリットが大きいですね。
スネアの音はやや硬質で歯切れのよい感じ。そこもベース音とバランスがよくてこのカホンの魅力だと思います。
ネットショップでは、品切れのところがところどころ見られますが、廃盤になったわけではないのでしばらく待つと補充されているようです。
2 in One Deluxeについては下の記事でも詳しくご紹介しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
【カホンのおすすめメーカー】シュラグベルク社のおすすめカホンと選び方(2 in One Deluxeへのリンク)
DG(De Gregorio)
特徴
DGは2003年に設立されたスペインのカホンメーカー。
伝統的なフラメンコの要素を取り入れたカホンが有名ですが、現代的な機能を備えたカホンを提供することでも評価され、フラメンコだけではなくジャズやポップスなど幅広いジャンルのミュージシャンに支持されています。
情熱的なスペインらしく、おしゃれなデザインが多いのも素敵だなと思います。
DGのカホンラインナップはこんな感じ。
- Chanela De Luxe、Yaqui De Luxeは、どちらもクオリティを追求し、最高級のサウンドを体感可能にした最上級モデルです。
- TOKAYOは、フラメンコライブで演奏するプレイヤーの要望に応えたものです。スペインでは音響機材が豊富なステージが少ない中、より情熱的なセッションができるカホンをとのコンセプトで作られています。
- Yaquiは丸みのある上品なサウンド。ジャズ、ボサノバや軽快なポップスなどに合うモデルです。
- Chanelaは人気のある定番モデルです。高音から低音までよく鳴り、フラメンコ音楽に限らず、ポップ、ロック、ジャズなど幅広いジャンルに使いやすいと言われています。
DGのカホンには、主にバーチ材が使われています。
初心者向きエントリーモデル(該当なし)
2024年9月時点で、エントリーモデルに該当するモデルは見つかりませんでした。
過去には、1~2万円台のカホンの取り扱いがありましたが、廃盤になっているようです。
ミドルクラスからピックアップ
Yaqui(ヤクイ)
- サイズ:W28.5×D29.5×H47.5cm(足を入れるとたぶん49cmくらいかと)
- 材質:バーチ材
- 響き線:ストリングスタイプ2本×2セット、鈴つき、取り外し可能
- 価格:40,000~47,000円程度(2024年9月時点)
バーチに美しい塗装が施された外観でカラーは3色、デザインも素敵ですね。
サウンドは低音より中音~高音域が強めで全体に柔らかく、バズ音(スナッピーの音)もタイトに聴こえます。
初心者にも鳴らしやすく、初級~上級者まで幅広く使われているようです。
カホンらしいバランスの取れた響きが特徴で、特にジャズ、ボサノバや軽快なポップスのようなジャンルに合うとのこと。
重量もメーカースペックで3.6Kgと軽く、持ち運びしやすいと思います。
Chanela(チャネラ)
- サイズ:W29×D29.5×H48cm
- 材質:バーチ材
- 響き線:ストリングスタイプ2本×4セット、取り外し可能
- 価格:41,000円~(4万円台)(2024年9月時点)
ブラック、ブラウン、ナチュラルからレッド、グリーン、ブルーまで豊富なカラー展開で、見た目はYaquiよりポップな印象です。
高音から低音までよく鳴り、プロも使用する定番のモデルとのこと。
響き線の反応がよく、細かい奏法にもよく反応するようです。
ポップ、ロック、ジャズなど幅広いジャンルに合うため、とても使いやすそうです。
重量は3.75Kgで、Yaquiと同様軽いですね。
TOKAYO(トカヨ)
価格がミドルクラスというには高いかもしれませんが、少し高くてもいい楽器が欲しいという方や、上級機種への買い替えを検討される方に。
- サイズ:W30×D30.7×H48.5cm
- 材質:打面は3PLYフェノール樹脂接着 バーチ、側面は9PLYバーチ
- 響き線:ストリングスタイプ2本×2セット、取り外し可能
- 価格:52,000円~67,000円程度(2024年9月時点)
スペインの音響設備の整わない環境でライブをすることの多いフラメンコのプレイヤーからの、よりパワフルに情熱的にプレイできるカホンが欲しいとの要望に応じて作られたそうです。
メーカースペックによると、Yaquiが重量が3.6Kg、Chanelaが3.75Kgに対して、TOKAYOは4.2Kgとなっているのでやや重いです。とはいっても、他社のカホンは5Kg超えるものもあるので、そんなに重いわけではないと思います。
ただ重くなっていることも、パワフルな演奏をしたいというプレイヤーの要望に応える要素になっている気がします。
ハイトーンの音質もアタック感が強くタイトな感じで、本格的な演奏を楽しみたいという方にはTOKAYOは魅力的ではないでしょうか。
デザインは2種類×2カラー展開で、フラメンコを意識してかとても華やかで美しいデザインになっているのも素敵ですね。
マイネル
特徴
マイネルは1951に設立されたドイツのパーカッションメーカーです。
コンガ、ボンゴ、ジャンベ、カホンなど多様な楽器を製造しており、伝統的な楽器の響きを大切にしながら、世界中のあらゆるユーザーのニーズに応えるパーカッションを提供しています。
マイネルのカホンは、スペインのカホン職人の巨匠Jose Hernandez Diaz(PEPOTE社)との提携により刷新され、ARTISAN EDITION CAJONSやWOODCRAFT CAJONSなどの新しいシリーズが作られています。
マイネルのカホンのラインナップはこんな感じです(2024年9月時点)
- ARTISAN EDITION CAJONSは、PEPOTE社のシリーズで、マイネル・カホンのフラッグシップモデル。響き線にはスペインの工房でハンドメイドで製造されたストリングスが使われています。
ARTISAN SERIESには多くのラインがあり、フラメンコ、ジャズ、ロックなど多様なジャンルに対応可能です。 - WOODCRAFT CAJONS、SNARECRAFT CAJONSもPEPOTE社のシリーズです。
- WOODCRAFT CAJONSは響き線がワイヤー(ストリングス)タイプ、SNARECRAFT CAJONSは2組のスネアタイプの響き線に隠し味にストリングスが設置され、スネアサウンドとレスポンスのよさが追求されています。
- SNARECRAFT PROFESSIONAL CAJONSはスネア(響き線)のON/OFFが可能なモデルです。
表には載せていませんが、マイネルにはMake Your Own CajonというDIYで自分で作れるカホンのキットがあり、人気があるようです。
バーチ材でW30 xD30xH46cmと小さめの標準サイズですが、本格的なカホンが作れるキットです。
別途必要な工具がありちょっと難しそうですが、DIY出来る方ならもしろそうですね!
初心者向きエントリーモデル Headliner Series
- サイズ:W30xD31 xH46cm
- 材質:打面はアッシュ材、側面はMDF材
- 響き線:ストリングスタイプ4本
- 価格:22,000~25,000円程度(2024年9月時点)
MEINL カホンのエントリーモデル。
標準サイズですが、高さが46cmと低めなので身長の低い方やお子さんにも使いやすそうですね。
MDF材(線維化した木材を固めたもの)を使用することによってコストを抑え、リーズナブルにクラシックなカホンの性能を備えたモデルを提供することをコンセプトにしているそうです。
初めての方も気軽にカホンを楽しむことが出来るモデルです。
ミドルクラスからピックアップ
WOODCRAFT PROFESSIONAL CAJONS
- サイズ:W30xD30 xH50cm
- 材質:バーチ材
- 響き線:ストリングスタイプ4本 x 2セット
- 価格:24,000~38,000円程度(2024年9月時点)
スペインのPEPOTE社との提携によるシリーズ。
打面はバルティックバーチで、響き線には特製の”マイクロコイル・スチールカホンストリングス”を使うことによって、くっきりとしたスネアサウンドと豊かなベース音を実現しているとのことです。
クリスピーなスネア音で、フィンガーロールなどの繊細な音も歯切れよく鳴る感じがします。
※バルティックバーチはバルト海のバーチのことで、寒い地域で育った木材で強度や均質性に定評があるようです。
アコースティックでトラディショナルな演奏を楽しめそうです。
WOODCRAFT CAJONというモデルもあり、こちらはWOODCRAFT PROFESSIONAL CAJONよりも薄いバーチ材が使われていて、響き線が3本×2セットです。
価格帯は22,000~35,000円程度とそこまで変わらないので、素材が厚く響き線の多いWOODCRAFT PROFESSIONAL CAJONの方が鳴り・反応性の面でより本格的で、良いのではないかと思いました。
SNARECRAFT CAJONS
- サイズ:W30×D30×H50cm(SC100系)、W30×D30×H46cm(SC80系)
- 材質:バーチ材
- 響き線:左右2組のスネアワイヤー+ストリングス
- 価格:22,000~28,000円程度(2024年9月時点)
リンクのSC100系は高さ50cmのモデルです。
ひとつ前にご紹介したWOODCRAFT PROFESSIONAL CAJONとの一番の違いは、響き線にスネアドラムと同じスネアワイヤーが使われていることです。
シュラグベルクの2 in Oneと似たタイプですね。
SNARECRAFT CAJONではさらに隠し味にストリングスタイプの響き線も使われていて、反応性が考慮されているようです。
打面はWOODCRAFT PROFESSIONAL CAJONと同様、バルティックバーチ。
スネアワイヤーの特徴ですが、ドラムパターンを叩いたときのビート感?グルーブ感は、やはりよいと感じました。
ドラムパターンをメインに演奏する方にはこちらがおすすめかと思います。
音を鳴らしやすく、手ごろな価格で売れ筋のようです。
SNARECRAFT CAJONは高さ46cmのモデル<SC80系>もあります。
背の低くて高さ50cmだと心配という方はこちらを検討するのもいいかもしれません。
(ちなみに、私は身長158cmで、50cmのカホンで問題ないです)
SNARECRAFT CAJONにも、PROFESSIONALのついたSNARECRAFT PROFESSIONAL CAJONというモデルがあります。
こちらは、スネアワイヤーをペダルでON/OFFできて、OFFにするとストリングスタイプの響き線だけになり、フラメンコなどのワールドミュージックに向いたスタイルも演奏可能になるものです。
両方のスタイルを演奏したい方にはいいかもしれませんね。
ただ、ペダルが出っ張っているので運搬の時に邪魔じゃないのかな?と思いました(;^ω^)
おわりに
カホンを選ぶときにおすすめだのメーカーと、初級・中級向けに使いやすいと思うモデルをご紹介しました。
カホンはメーカーもモデルもたくさんあるので、選ぶときに迷うかもしれませんが、そんな時に参考にしていただけると幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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