カホンは、ポップスはもちろん、ジャズやボサノバなどのワールドミュージックにもよく使われ人気のパーカッションです。
手軽に始められることから初心者にもおすすめ。
ただ、シンプルな箱型の見た目とは裏腹に、メーカーやモデルごとに音の違いや構造の個性があり、種類も豊富です。
そのため、「どれを選べばいいかわからない」「初めて買うにはどれが安心?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなカホン初心者の方に向けて、選び方のポイントをわかりやすく整理しました。
価格帯ごとの特徴、響き線の種類、サイズや材質の違い、人気メーカーのモデル比較まで、失敗しないカホン選びをサポートします。
▶ パーカッション初心者におすすめの楽器やその難易度については、こちらの記事も参考にしてみてください。
カホンは難しい?初心者でも叩ける?【難易度と練習のしやすさ】
カホンはパーカッションの中でも比較的シンプルな構造で、直感的に演奏しやすいです。
打面が皮の楽器(コンガやジャンベなど)は音を出すのにコツがあり、すぐにはよい音が鳴らせないことも多いですが、カホンは比較的簡単に鳴らせるのです。
また、ドラムのように両手両足を使う必要はなく、手だけで演奏できるため、初心者が最初に取り組みやすい楽器と言えます。
叩く場所を変えることで高音と低音の打ち分けができ、基本的なリズムパターンも習得しやすいと思います。
一方で、ちょっとした叩き方の違いで音が大きく変わり、プロの演奏は違う楽器のように聴こえます。
上達すると、足を使って足鈴やタンバリン、ハイハットなどの楽器を組み合わせて演奏することもあります。
奥深さもあり、リズム感や細かいニュアンスを極めるには時間がかかるため、初心者から上級者まで幅広く楽しめる楽器といえます。
カホンは演奏人口が多く、教室や動画教材も豊富なので、練習を始めやすいのも魅力です。
ただし、自宅での練習では、音が思いのほか響くこともあるため、周囲への配慮は忘れずに。
▶ 自宅でできるパーカッションの練習方法についてはこちらの記事もご覧ください。
カホンの価格帯と選び方のポイント【1万〜6万円台の違い】

カホンを選ぶとき、一番気になるのは価格かもしれません。
ここでは、価格帯ごとのモデルの特徴と選ぶうえでの注意点を解説します。
1~2万円台|エントリーモデルの特徴と注意点
初心者向けの価格帯です。
音を鳴らしやすいなど扱いやすく、最初の1台として使いやすいように作られています。
軽量なモデルも多いです。
「とにかく始めてみたい」「続くかどうかわからない」といった方には、手頃な選択肢となります。
とはいえ、音のクオリティはやはり上位モデルに比べると控えめな印象になるため、長期的に使うには物足りなさも出てくるかもしれません。
おすすめモデル表(1〜2万円台)はこちら
3〜6万円台|音質や作りの違いはここに出る
最も種類が多く、選択肢も豊富な価格帯です。
木材の質や内部構造、職人の仕上げなどにこだわったモデルが多く、より高い、本格的なカホンのクオリティを備えています。
このクラスにはプロに使用されているモデルもあります。
特に、叩き心地の良さや反応性の高さはこのクラスから一気に向上するため、最初からこの価格帯を検討するのもおすすめです。
おすすめモデル表(3〜6万円台)はこちら
7万円以上|ハイエンドモデルを選ぶタイミング
プロ向けや、特定の音楽ジャンルに特化したモデルが多く、自分のスタイルが定まってからの購入がおすすめです。
このクラスは音の表現力が極めて高く、細かなニュアンスにも応えてくれるため、繊細なプレイを求める上級者にも最適。見た目も非常に高級感があり、ステージ映えも抜群です。
カホンのサイズ・材質による違い

カホンの標準的なサイズは、幅30cm × 奥行30cm × 高さ46〜50cmです。
おもちゃやミニサイズではなく、楽器としてしっかり使えるカホンは、おおよそこのサイズ感に収まっています。
各社のモデルを見てみると、“本格的なカホン”は高さ48〜50cmほどのものが多く、初心者向けモデルには高さ46cm前後のものもよく見られます。
カホンのサイズが大きくなると低音の鳴りは良くなりますが、小柄な方の場合、座ったときに足が床に届きにくくなり、叩きづらさを感じることもあるかもしれません。
一般的な身長の方であれば標準サイズで問題ありませんが、小柄な方には少し低めのモデルも選択肢に入れてみると良いでしょう。

私は身長158cmで、高さ50cmのカホンを使っていますが、特に問題ありません。
また、かなり小柄な女性パーカッショニストでも、高さ50cmのカホンを普通に使っている方がいると聞いたこともあるので、最終的には人による部分も大きいと思います。
カホンの音は、使用される素材によって大きく変わるのも特徴です。 バーチやメイプルはバランス型、マホガニーやエボニーは柔らかく深みのある音が出るとされています。
ただし、「この素材はこういう音」という単純な話ではなく、モデルによって板の厚さや何枚重ねた合板か、さらには板同士の接合方法など、さまざまな要素が音に影響します。
素材の特徴に加えて、『叩いたときの印象』や『自分にとって叩きやすいか』も選ぶ際の大切なポイントになります。
カホンの響き線(ワイヤー vs スナッピー)【音の違いと初心者へのおすすめ】

カホンの響き線には大きく分けてスナッピータイプとワイヤータイプの2つがあります。
ここでは、それぞれの特長と選び方を見ていきましょう。
スナッピータイプの特徴|初心者に扱いやすい
スネアドラムに使われるのと同様の響き線が使われています。
基本的にはチューニング不要で、音の鳴りが安定しており、初心者にも扱いやすいです。
カホンの上部を叩くと、スネアドラムのような“ジャッ”というバズ音が鳴り、ドラムのようなリズムパターンの演奏に向いています。
このタイプのカホンでは、叩く位置を変えることで、バスドラムのような低音(バズ音があまり鳴らない)とスネアのような高音(バズ音あり)の切り替えができるように設計されています。

スナッピータイプの響き線です。
(シュラグベルクの2 in One Deluxeの場合)
これが打面の裏側の上部に取り付けられています。
ワイヤータイプの特徴|レスポンスや演奏性の違い
繊細なタッチやフィンガーテクニックにもしっかり反応するため、表現力を重視したいプレイヤーに向いています。
チューニングの必要があるものの、その分自分好みのサウンドを追求できる魅力があります。
フラメンコなどの民族音楽にもよく合います。
どっちがいい?用途・演奏スタイル別に解説
初心者の方で、ドラムのようなリズムパターンを演奏したい場合は、スナッピータイプのほうが扱いやすくておすすめです。
一方で、ジャズやワールドミュージックも演奏する場合、フィンガーテクニックや繊細なニュアンスにこだわりたい場合は、ワイヤータイプも選択肢になると思います。
「このスタイルならこのタイプ」と決めつける必要はありません。
実際に叩いてみて、自分の感覚にしっくりくるものを選ぶのがいちばんです。

私は先生にすすめられて、スナッピータイプのモデルを使っています。
ポップスのドラムパターンを演奏することが多いですが、チューニングも必要なく扱いやすいのでとても気に入っています!
人気メーカーで選ぶなら?【おすすめ3社の特徴まとめ】

カホンを作っているメーカーはたくさんあるので、どこを選べばよいか迷う方も多いかもしれません。
ここでは、その中から特におすすめの人気メーカー3社をご紹介します。
MEINL(マイネル)|初心者〜プロまで幅広く対応
ドイツ発のパーカッションブランドで、世界中のミュージシャンに愛されている信頼のメーカーです。
ラインナップが豊富で、初心者向けからプロ仕様まで幅広いモデルが揃っています。
マイネルのカホンは、近年スペインの名工 José Hernández Díaz 氏(PEPOTE社)との提携によって、ラインナップが大きく刷新されました。
このコラボレーションにより、MEINLのカホンは音質・デザインともに個性が際立つようになり、より魅力的なモデルが増えています。
提携モデルには中上級向けの機種が多いですが、比較的手頃なモデルもありますので、初心者の方にも魅力的な選択肢になると思います。
▶ マイネルのおすすめカホンは価格別おすすめ、メーカー別おすすめで紹介しています。
こちらの記事では他にも多数のモデルを紹介し、より詳しい比較や他メーカーとの違いも解説しています:
▶ カホン人気3メーカー比較記事
Schlagwerk(シュラグベルク)|独自性と高品質
1982年創設のドイツのパーカッションメーカーで、親しみをこめて「シュラグ」と呼ばれることもあります。
1990年に販売された最初のカホン「La Peru」が世界的にヒットし、その成功をきっかけにシュラグベルクの名前が広く知られるようになりました。
シュラグベルクのカホンは、従来のカホンの概念にとらわれず開発されています。
独自の構造やアイディアによって作られ、常に新しいサウンドを提案しています。
ドイツらしい品質へのこだわりと高い技術力により、サウンドのバランスが取れた洗練されたモデルとなっており、世界中のプレイヤーから高い評価を受けています。
▶ シュラグベルクのおすすめカホンはおすすめモデル比較の中で紹介しています。
▶ Schlagwerkの他のモデルについては、こちらの記事で詳しく紹介しています
De Gregorio(DG)|スペインの伝統と現代性
2003年にドラマーでパーカッショニストのPaolo DeGregorio氏によって設立された、スペインのカホン専門メーカーです。
フラメンコの伝統を継承しながらも、ジャズやポップスなど幅広いジャンルで使えるサウンドを追求しており、音楽性の広がりが魅力です。
DGのカホンは、伝統的な製法を重視した設計で、一台一台がしっかりと作り込まれています。 洗練されすぎないリアルな響きとライブ感が特徴で、プロの現場でも愛用者が多く見られます。
▶ DGのおすすめカホンは価格帯別おすすめ、メーカー別おすすめをで紹介しています。リンク先では、さらに詳しい情報を掲載しています
こちらの記事では他にも多数のモデルを紹介し、より詳しい比較や他メーカーとの違いも解説しています:
▶ カホン人気3メーカー比較記事
おすすめモデルを比較|目的・価格・タイプ別まとめ
価格帯別|初心者向けおすすめモデル(1~2万円台)
カホン初心者に最適なモデルの中から、特におすすめの1台をご紹介します。
モデル名 | サイズ1) | 材質 | 響き線 | 価格帯2) |
Schlagwerk Rudiments SR-CP80 | 約30×30×50cm | SPL複合材 (打面:バーチ) | スナッピー | 約15,000〜18,000円 |
Schlagwerk Rudiments SR-CP80の特徴
スネアのようなバズ音としっかりした低音を両立し、低価格ながら高い品質を実現しています。
初心者に必要な機能を一通り備えており、これからカホンを始めたい方にも安心しておすすめできるモデルです。
このシリーズには3種類のバリエーションがあります。
他のモデルについては、こちらの記事で詳しく紹介しています
価格帯別|おすすめモデル(3〜6万円台)
ここでは、中級〜上級者にも対応できる3〜6万円台のモデルを紹介します。
素材や仕上がりのクオリティが高く、音の表現力や演奏のしやすさにもこだわったモデルが揃っています。
「少しいいものを選びたい」という初心者の方にもおすすめできるラインナップです。
モデル名 | サイズ1) | 材質 | 響き線 | 価格帯2) |
Schlagwerk 2inOne CP404 | 約30×30×50cm | バーチ 打面:ビーチ | スナッピー | 約36,000~42,000円 |
MEINL Artisan Edition Cajon Tango Line | 約29×30×48cm | バーチ | ストリングス | 約39,000〜44,000円 |
DG Yaqui | 約29×30×49cm | バーチ | ストリングス | 約46,000~53,000円 |
Schlagwerk 2inOne CP404 の特徴
シュラグベルクを代表する「2inOne」シリーズの中でも最も標準的なモデルです。
明瞭な高音と深みのある低音のバランスが良く、初心者から中級者まで幅広く支持されています。
スナッピーの着脱が可能で、表現の幅も広く、アコースティックな暖かみのあるサウンドが魅力です。
MEINL Artisan Edition Cajon Tango Line の特徴
PEPOTE社との提携により作られたArtisan Editionの中で、より合理的な構造で手頃な価格とクオリティを両立した手に入れやすいモデルです。
共鳴性のある豊かな低音と、歯切れの良いスネアサウンドが特徴で、自然なアコースティックトーンと快適な演奏性が追求されています。 仕上げのバリエーションも豊富で、見た目の美しさにもこだわりが感じられます。
販売店の間でも、パーカッショニストに人気のあるモデルとして紹介されることが多く、信頼性の高さがうかがえます。
DG Yaqui の特徴
DGの定番モデルで、丸みのある優しいサウンドが特徴です。
中〜高音域が程よく前に出て、ジャズやボサノバなど軽快な音楽にマッチすると言われています。
初心者でも鳴らしやすく、デザインもスタイリッシュ。持ち運びしやすい軽さもあり、幅広い層に人気のモデルです。
サイズで選ぶ|小柄な方向けのモデル
カホンのサイズは、高さが数cm違うだけでも、演奏時の感覚に大きな影響があります。
特に小柄な方にとっては、標準サイズ(高さ50cm)のカホンではバランスを取りにくく、叩きづらさを感じることもあるかもしれません。
ここでは、小柄な方向けにおすすめできるやや低めのモデルも紹介します。
標準サイズのカホンで大丈夫かな?と心配な方は、こちらも参考にしてください。
モデル名 | サイズ1) | 材質 | 響き線 | 価格帯2) |
Schlagwerk 2inOne CP403 | 約30×30×45cm | バーチ 打面:ビーチ | スナッピー | 約32,000~40,000円 |
MEINL Snarecraft SC80B / SC80AB-B | 約30×30×46cm | バーチ | スナッピー+ワイヤー | 約22,000〜26,000円 |
LP Mona Tavakoli Signature MT Box(LP14431) | 約30×30×46cm | バーチ | ワイヤー | 約25,000〜30,000円 |
Schlagwerk 2inOne CP403 の特徴
標準モデルCP404の扱いやすさはそのままに、高さをやや低めに設計したモデルです。
明瞭なスネア音と豊かな低音のバランスは維持しながら、小柄な方にも座りやすくなっています。
MEINL Snarecraft SC80B / SC80AB-B の特徴
Snarecraftシリーズは、クリスピーなスネアサウンドと温かみのある低音が特徴です。
SC80系は高さ46cmのコンパクトな設計で、小柄な方にもおすすめ。
比較的低価格ながら音も鳴らしやすく、初心者にも人気のモデルとのこと。
LP Mona Tavakoli Signature MT Box の特徴
こちらはLP社製で、アメリカのパーカッショニスト Mona Tavakoli さんによるシグネチャーモデル。
反応性の高さやしっかりした低音、耐久性にこだわって設計されています。
このカホンも小柄な方に優しい低めのサイズで、本格的なカホンをすべての方にというMonaさんの思いがあるのかもしれません。
サウンドホールが3つある独自の設計、他にはないユニークなデザイン性も魅力です。
Mona Tavakoliってどんなパーカッショニスト?Mona Tavakoli さんについてはこちらの記事で紹介しています。
メーカー別おすすめモデル
ここではこれまで紹介したモデルよりさらにワンランク上の、上位機種のカホンをご紹介します。
最上級クラスほどではない価格で、最上級クラスに匹敵するサウンド、美しい外観を入手できるモデルです。
モデル名 | サイズ1) | 材質 | 響き線 | 価格帯2) |
MEINL Artisan Edition Solea Line Cajon | 約29×30×48cm | バーチ | ワイヤー | 約32,000~40,000円 |
Schlagwerk 2inOne Deluxe CP432 | 約30×30×50cm | バーチ | スナッピー+ワイヤー | 約22,000〜26,000円 |
De Gregorio(DG) TOKAYO | 約30×31×49cm | バーチ | ワイヤー | 約25,000〜30,000円 |
MEINL|Artisan Edition Solea Line Cajon
PEPOTE社との提携で生まれた上位モデル。
Solea Lineには複数のバリエーションがありますが、いずれも豊かな低音とクリアな高音、そして快適な演奏性を兼ね備えています。
メーカーによれば、サウンドホール部分に「ベースリフレクトシステム」を採用することで、音のぶつかりを抑え自然な鳴りを実現しているとのことです。
🔗下の記事で多数のモデルを紹介し、より詳しい比較や他メーカーとの違いも解説しています:
▶ カホン人気3メーカー比較記事
Schlagwerk|2 in One Deluxe CP432
体に響くベース音の重低音感と、硬質なスネア音が魅力のモデルです。
本体に使用されているSPL合成材と、打面のエボニー材が低音の響きを引き出し、くっきりとした音を出せるのが特徴。
プロのパーカッショニストがライブの現場で使用している例もあり、上級モデルのクオリティながら、比較的手の届きやすい価格帯です。
ポップスなどでしっかりした低音が欲しい方に特におすすめです。
▶ Schlagwerkの他のおすすめモデルについては、こちらの記事で詳しく紹介しています
De Gregorio(DG)|TOKAYO
環境の整わない場所で演奏することの多い、スペインのフラメンコ・プレーヤーのニーズに応えて開発されたモデルです。
ライブなどで、フラメンコダンサーとの情熱的な駆け引きに応えるために、強い音圧と繊細なニュアンスを両立しています。
パワフルなアタック音と、立体的な音像が印象的で、アグレッシブな演奏にも応えるカホンです。
🔗下の記事で多数のモデルを紹介し、より詳しい比較や他メーカーとの違いも解説しています
▶ カホン人気3メーカー比較記事
まとめ|自分に合ったカホンを選んで、演奏をもっと楽しもう!
カホンは、手軽さと奥深さを兼ね備えた、とても魅力的な楽器です。
初心者にも始めやすく、価格やサイズ、素材や響き線による音の違いを理解すれば、自分にぴったりの1台を見つけやすくなります。
- 価格帯は、予算や使用目的に応じて選ぶのがポイント。
- サイズは、身長や演奏スタイルに合わせて無理のないものを。
- 材質や響き線の違いも、音の好みに直結する大事な要素です。
- メーカーの個性も知っておくと、選ぶ楽しさがさらに広がります。
初めての楽器選びには不安もつきものですが、どんなカホンを選んだとしても、そこから始まるリズムの世界にはたくさんの楽しみが待っています。
あなたにとって「これだ」と思えるカホンに出会えるよう、この記事が少しでもお役に立てば嬉しいです。
🔗 カホンの人気3メーカー比較記事
🔗 カホンを初めての方向けに解説
🔗 人気メーカーシュラグベルクの紹介記事
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