リズムと脳が生む快感|ドラム・パーカッションが楽しい理由

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コラム

打楽器って楽しいです。
私はドラムもパーカッションも大好きです。
叩くと気持ちよくて、頭も身体もすっきりもします。
リズムを刻み続けること自体も快感だし、もっといろいろなリズムを叩いてみたい、いろんな人と合わせてみたいと思う。

ドラムやパーカッションをやっていて、こんな気持ちになる人は多いのではないでしょうか。
打楽器の演奏は、太鼓を叩くだけの単純なものに見えるのに、なぜこんなに楽しいのでしょう?

その答えのヒントが、少し前に放送された、NHKの知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?(びっくりハテナ)の「ヒトはなぜ音楽を愛するのか」の回にありました。

この放送では、人はなぜ音楽を愛するのかを、科学的な視点から説明していましたが、
特にリズムに注目している部分がありました。
リズムは脳に影響を及ぼし、人がリズムを聴いたり演奏すると、ドーパミンが分泌される、つまり快感だと感じられるしくみがあるという話でした。

このことは、私たちが打楽器を演奏することが楽しいと感じることにもつながります。
しかし、実際にドラムやパーカッションを演奏する人なら、ドラムを叩くことの楽しさは、このようなリズム予測から起こるものだけではないはずだ、と思うのではないでしょうか。

例えば、グルーヴ感を生み出しその推進力に乗るような快感や、叩いた打面で感じる衝撃・反発力から感じるドラムの気持ちよさ・楽しさはどうでしょうか?

そこでこの記事では、番組で取り上げられていたリズム予測から始めて、科学的な視点からドラムが楽しい理由をもっと広げて考えていきます。
ドラムやパーカッションが楽しいのはなぜか?
気になる方はぜひ最後まで読んでみてください。

知的探求フロンティア「ヒトはなぜ音楽を愛するのか」の話

知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?(びっくりハテナ)、ご覧になったことありますか?
タモリと山中教授が科学的な視点で様々な疑問を探求していく番組で、最先端の知識をわかりやすく楽しく知ることができて、とても面白いです。
先日、この番組で「ヒトはなぜ音楽を愛するのか」と言うテーマを取り上げてました。
(初回放送は2025年11月、私は再放送をみました)

音楽が脳に及ぼす影響から、人が音楽を愛する理由を説明していて、大変興味深かったです。
番組前半は、特にリズムに着目した内容でした。

ここでは、番組の内容から、特に打楽器の演奏に関連すると思われる部分を簡単にまとめました。

BAKA(カメルーンに住む森の民)の音楽

番組では、BAKA(バカ族)の音楽を取り上げていました。
BAKAは中央アフリカ(カメルーン)の熱帯雨林に暮らす人たちです。
彼らの音楽は「原初の音楽」に近いのではないか、と考えられているそうです。
民俗学の研究者が訪れて、何年間にもわたり研究を続けているようで、番組ではその様子が放映されていました。

BAKAの音楽は、木の太鼓と手拍子と歌で奏でられていました。
最初に、一人が歌い始めます。
太鼓の音とともに、手拍子を打ちながらひとりが歌い始めると、他の人が次々と歌い始めて、最終的には7人の合唱になりました。
手拍子は、みんなが大体同じリズムで叩いているけど、微妙にずれてる人もいました。
歌は、全員が違う節、メロディーで歌っていました。

全員の手拍子と歌と太鼓が合わさると、歌はとても複雑になり、グルーヴ感が生まれます。
踊り出す人もいて盛り上げり、最高潮に達する前に、歌は突然止んで、みんなはもとの作業に戻りました。

この演奏は即興で行われるようですが、先祖から受け継いだ歌をそのまま歌う場合もあるそうです。
BAKAの人たちが歌うのは、暮らしの中のコミュニケーションとしてですが、森の動物や精霊へのコミュニケーションとしても意味をもつこともあるようです。

番組では、彼らの歌を解析した結果を紹介していました。
その結果、BAKAの人たちは全員が異なるリズムで歌っていることがわかったそうです。

手拍子は全員がだいたい同じように叩いていて、例えばそれを4拍子だとすると(実際は4拍子と言う概念ではないと思います)、4拍子で歌う人、3拍子で歌う人、5拍子で歌う人がいる感じ。
その結果、全体としてはとても複雑なリズムになります。

4拍子の手拍子で、3拍子や5拍子で歌う。

ここでいう3拍子がどんなものか、番組では説明していなかったので、調べてみたところ、
2拍3連(4拍子の中に3連)に聴こえるけど、聴き方によっては4拍子を3拍ごとに区切った3拍子に聴こえることもあるということで、
あいまいな部分もあるらしいです。

西洋的な概念では、はっきり説明できないのかもしれません。

また手拍子も完全には一致せず、微妙に揺らいでいる人もいて、それもグルーヴ感がうまれる原因になっているように感じました。

ひとりが歌い出して、次々加わっていくのは、歌のリズムがかぶらないようにするためだそうです。
他の人の歌を聞いて、同じにならないように歌う。

すごいリズム感ですよね。
生まれた時からこういう音楽に触れて育つうちに、身につくのだとか。
もし、自分がここに生まれてもついていけないような気がする…。
が、そう感じるのは、逆に理屈で理解しようとしているからなのかもしれません。

BAKAの音楽は、原初の音楽と言っても、決して単純なものではなく、高度で複雑でとても難しいことをやっているものでした。
長老が「ひとりで歌ってもいい歌にならない」と話していたのが印象的でした。
みんなで歌うことによって複雑で奥深い音楽になり、一緒に盛り上がって一体感が生まれる。
これは、彼らの社会での生き方を体現しているのではないか?そんな話もありました。

番組でやっていたBAKAの音楽についての概要が、下記サイトにもありました。
(NHK Oneのアカウントが必要です)
ヒトはなぜ歌うのか? 答えのカギはアフリカに?(NHK Oneのサイトに飛びます)

リズム予測が快感を生む話

番組では、BAKAの音楽の後に、脳と音楽についての研究結果を紹介していました。
リズム予測が快感につながる話です。

その話はこうです。

人は、リズムをただ受け身で聴いているわけではない。
常に、次の瞬間どのタイミングで音が聞こえるのかを予測(つまり、”リズム予測”)をしながら聴いている。これは無意識に起こることです。

この時、予測したタイミングの通りに音が聞こえると、脳の報酬系が働いてドーパミンなどの神経伝達物質が分泌され、楽しい、気持ちいいと感じ、集中力ややる気が出てきます。
つまり、リズムを聴いていると無意識にリズム予測をして、それが当たると”楽しい”ということ。

しかし、単純な繰り返しだとすぐに脳は飽きてしまいます。
ところが、時々予測からはずれる…、例えば、来ると思ったタイミングに音がない。
あるいはBAKAの音楽のように、違うリズムの組み合わせで微妙な揺れやシンコペーションがある。
―このように、予測とほぼ一致するのだけど、時々はずれる―
こんな状況では、脳は面白いと感じ、楽しい、気持ちいいと感じる状態が続きます。

また番組では、このような状態では、報酬系は運動系とも連動し、踊りだしたくなる衝動につながることを説明していました。
報酬系は、生存に必要な睡眠欲・食欲・性欲に関わるしくみですが、”リズム欲”とも言える衝動もこの中に入るという考え方を、提示していました。

この話は、音楽は生存に欠かせないものだという考え方にもつながります。

実は番組の冒頭で、ダーウィンが「音楽は生存に直接役立たない」と述べていた、という話が紹介されていました。
これに対し、タモリは「音楽は生存に必要だと思うけどね」「ダーウィンは音楽があまり好きじゃなかったんじゃないの?」と言っていたのですが、
脳科学的に見ても、音楽は生存に役立つ重要なものだ、ということを番組では示したというわけです。

打楽器が楽しい理由は「リズム予測」だけじゃない

ここまで、NHKの知的探求フロンティアで取り上げられていたリズムの話―
リズム予測が当たると脳の報酬系が動き始め、ドーパミンが分泌され、楽しいと感じたり、集中が高まったりする、という話をご紹介しました。

確かに、これはドラムやパーカッションを演奏する時の面白さ、楽しさ(=快感)にも当てはまりそうです。

でも、実際にドラム・パーカッションをやっている経験からすると、「いや、これだけじゃない、もっとある!」と感じるのです。

例えば、”グルーヴ感”による快感です。
「知的探求フロンティア」の番組でも、グルーヴ感についても少し触れられていましたが、私の感覚としては、それだけではない、もっと特別なものに感じます。

また、打面を叩くときの衝撃を体で受ける感覚も、何とも言えず快感で、これもはずせない気がする。

そこで、ドラム・パーカッションで感じる3つの大きな快感を次のように整理してみました。

<ドラム・パーカッションが楽しい理由>
1. リズム予測が当たったり、時々外れる意外性から感じる快感(番組で言ってたもの)
2. グルーヴ感による快感
3. 打面を叩いたときの衝撃を身体で受けることによる快感

もちろん、快感には他にもいろいろなものがあります。
例えば、身体を動かす快感、音を出す快感、人と合わせる快感など―
でも、脳で感じる快感と言う視点で、同じレベルで説明できるものを整理すると、上の3つになるんじゃないかと思うのです。
調べてみると、上の3つの快感は、科学的にもそれぞれ説明できて、ドラムの楽しさを異なる面からみることができそうでした。

そこでここでは、私の独断により、ドラムやパーカッションが楽しい理由を上の3つの快感で考え、なぜ快感になるのか?面白いと感じるかについて説明していきたいと思います。

ドラム・パーカッションが楽しい理由|3つの快感

リズム予測による快感

まず最初は、リズム予測が当たったり、時々はずれる意外性があることによる快感です。

これは「知的探求フロンティア」で取り上げていたもので、すでに説明してきた通りですが、
番組では、そもそも人はどうやってリズム予測をしているのか?についての説明はありませんでした。
そこでまず、人がどうやってリズム予測をするかについて、簡単に紹介したあとに、ドラム・パーカッションに話を広げていきます。

人はどうやってリズム予測をするのか?

人がリズム予測をするときは、まず、自分の中に「内部のリズム周期(内部周期)」を作ります。
これは、聞いたリズムに脳の運動系ネットワークが同期することによって生まれます。
運動系の同期と言っても、目に見えて身体が動くわけではなく、動きに至らないほどの微細なレベルなのだそうです。

この内部周期は、身体の中に外のリズムと同期したメトロノームができるような感じ、と考えるとわかりやすいです。

自分の内部周期に従ってリズム予測して、もしその結果が外から聞こえるリズムとずれていたら、内部周期にフィードバックして修正します。
実際に演奏する時は、リズム予測してずれがあったら修正、そしてまたリズム予測して…のように繰り返しす…。
つまり、リズム予測と内部周期の修正をループさせていくわけです。
これが、リズム予測のしくみです。

ドラム・パーカッションでのリズム予測による快感

ドラムやパーカッションの場合の、リズム予測による快感を考えてみると、
例えば―

演奏するときは、自分の内部周期に従ってリズムを予測し、実際に音をだす。
もし、それが外から聞こえるリズムと合っているなら、自分の予測と、実際の音がぴったり合っている状態で、とても気持ちいい、快感です。

外から聞こえるリズムとは、メトロノームだったり、一緒に演奏する人の音だったり、何かの曲の音源だったりするわけですが、いずれにせよ、相手とぴったりあってる状態といえます。
もし合わなかったら、自分の内部周期を修正したり、相手に走ってない?と言うかもしれません。

また、複雑なリズムやシンコペーションなどの場合は、より予測が難しく、脳にとっては面白い状況になります。
そして、難しい分うまくはまると、とても快感で、集中力も高まっていきます。

ドラムやパーカッションは、外から聞こえるリズムに合わせるのでなく、自分がリードする場合も多いです。
その場合は、自分の内部周期と出した音が一致している、また、一緒に演奏する相手が、自分に合わせてきている、などの状態になると快感ですよね。

バンドの場合は、それぞれのリズムが正確に合っていなくても、全体としてまとまっていいリズムになる、ということも考えられます。
いいグルーヴがでているかもしれません。
これもリズム予測が難しく、脳にとっては面白い状態と言えそうです。

ドラムやパーカッションの演奏で、リズム予測によって快感が得られると考えられる場面をあげてみました。

グルーヴで感じる快感

グルーヴ感は、打楽器の演奏による快感としてはとても大きなものではないでしょうか?

音楽心理学、神経科学などでもよく研究されています。
ここでは、グルーヴ感について科学的な知見も取り入れながら、説明していきます。

グルーヴ感とは

グルーヴ感とは、ウィキペディアでは「リズムが推進力を持ち、身体を動かしたくなる感覚を作り出すもの」と表現されています。

実際に体験した人には、うねり、渦、飲み込まれる感じなどと表現されたりします。
グルーヴ感は、演奏者だけではなく聴いている人にも感じられるものです。
「波に乗っている感じ」「止められない推進力」「音楽に運ばれている感じ」と言う人もいて、身体の反応を伴うのが特徴です。
グルーヴに出会った時は、リズムの波に乗って身体がひとりでに動き出すような感覚があるのではないでしょうか。
また、ノリのよい疾走感だけではなく、静かなグルーヴというのもありますね。

グルーヴがどんな時に現れるか?ということも、研究はかなり進んでいて、例えば―

  • 演奏が完全に正確ではなく、揺らぎがある
  • その揺らぎは毎回同じではないが、まったくランダムでもない。
    ある程度同じ方向性・傾向をもって繰り返されている
  • リズムに身体が反応している

そんな条件の時にグルーヴが起こるのだそうです。

グルーヴ感は実体のない感覚的なもののように思われがちですが、物理的にかなり説明できるようになっているものなのです。
ちょっと意外かもしれません。

グルーヴによる快感

では、グルーヴ感が生まれた時は、どのような快感が感じられるでしょうか?

これまで説明してきたリズム予測による快感は、もちろんあるでしょう。
しかも、グルーヴのある場合は、予測とズレが絶妙のバランスと考えられるので、この快感もぐっと大きくなるかもしれません。

もう一つ、グルーヴに独特のものに、身体で感じる推進力があります。
グルーヴ感の大きな特徴は身体の反応を伴うことです。
リズム予測でも”リズムに合わせて動きたいという身体の反応”を伴いますが、音楽に運ばれる・止められないような感覚は、グルーヴに特有です。
リズム予測だけの場合よりもさらに強力で、ドラム・パーカッションが楽しい理由として、ぜひ挙げておきたいものです。

では、グルーヴによる「前へ前へと進む推進力」はなぜ起こるのか?
それは次のように考えられます。

グルーヴが生まれると、そのリズムは常に揺らいで確定しない状態になります。

すると、拍を感じて、次のリズムを予測して、修正して、また次を待って…という繰り返しになり、
自分の内部周期を修正し続ける、つまり常に次を待っている状態を作ります。
そして、これが循環してループになると、いつも少しだけ将来を見ているという状態になります。

この状態によって、”時間が前に引っ張られる感覚<推進力>”が生まれるのだとか。

そしてこの時、リズム予測には運動系が必ず関わるので、これに身体が動く準備が伴います。
ドラムを叩くタイミングを、わずかに早く身体が準備する。
叩いた結果、微妙なズレがあったら、修正する。
これによって、「予測→運動→修正」のループが身体にも回り始めます。

これが回り続けると、<推進力>が身体で感じられるようになって、
・止まらない感じ
・引き込まれる
・ノリ続ける
という状態になると考えられます。

つまり、推進力による”止まらない感じ”は、脳だけでなく身体にもループが回って推進力が発生している状態で、だからこそ、とても強力なものになるのでしょう。

私の感覚ですが、うまくグルーヴが出た時、曲の感情の中に入り込んで、音楽と一体になったように感じることがあります。
そんな時は、何とも言えない幸福感を感じます。

これもかなり典型的なグルーヴ体験で、自分とリズムの境界が薄くなった状態で、
報酬系の反応とフローが重なったもの。とも言えるものだそうです。

このような快感は、ドラムやパーカッションで得られる中で、一番大きなもののひとつではないでしょうか。

叩いた衝撃を体で受けることによる快感

ここまで、リズムに起因する快感を2つ、説明してきました。
次にあげるのは、叩いたときの衝撃を身体で感じることによる快感です。
これは、他の楽器と比べて、打楽器の場合は特に大きく、打楽器が楽しい理由として外せないものです。

衝撃・反発で感じる快感|固有感覚(プロプリオセプション)

打面を叩いたときにその衝撃が、スティックや手から身体に伝わって感じる気持ちよさ。
これは打楽器の本質的な要素かもしれません。

走っているときに、足が地面から受ける感覚と同じようなものだと想像してみてください。
叩いた衝撃がリズミカルに身体に伝わってきます。
これは何とも言えず気持ちよいものだと思います。
それだけではなく、演奏した後、頭がクリアになるし、体もスッキリするのです。

私はこのことを、ただ体に伝わる衝撃が気持ちいいのだと思ってたけど、調べてみるともう少し深い意味があって、それは固有感覚(プロプリオセプション)に関わるものだとか。

固有感覚(プロプリオセプション)とは、直接見なくても自分の体が今どうなっているかを感じる感覚のことをいいます。

これは、筋肉や関節にあるセンサーで感じる情報で、例えば―

  • 目を閉じて鼻を触れる
  • 階段をリズムよく降りる
  • キーボードを手元を見ないで打つ

などのときに、固有感覚が使われています。

ドラム・パーカッションでは、見なくてもスティックの位置が分かったり、力加減がわかったり、リバウンドを感じたりするなどで関わってくるようです。
また、固有感覚を記憶することで、動きをループ化して、意識しなくても適切に叩けるようになるということです。

固有感覚で生まれる予測と一致

このような固有感覚が働く場合にも、予測と一致が生まれます。
具体的には―

  1. 「こう動くはず」と予測する
  2. 実際に動く
  3. 固有感覚でフィードバックが来る
  4. 一致する

このように、予測との一致が生まれると、「思った通りに叩けた」と言う感覚の一致が生まれ、快感につながります。
つまりここでも、リズム予測の時と同じように、報酬系が働いている。

ドラム・パーカッションの場合は、自分の動きとタイミングの予測が一致したとき、身体全体で振動を感じてフィードバックを受け取ることになります。
そして、それがリズム周期をもって繰り返されるわけですから、その分、快感も強くなるというものでしょう。

ドラムを叩くと頭がクリアになる、体がすっきりするなどの気持ちよさにも、この固有感覚の予測と一致が深く関わっていると言えそうです。

ドラムやパーカッションが楽しい3つ目の理由は、固有感覚の予測と一致によるもの。
叩いた衝撃を身体で感じることによる快感についてでした。

まとめ|3つの快感が重なったとき

NHKの番組「知的探求フロンティア」で取り上げられていた、リズム予測で脳生まれる快感の話から、「ドラム・パーカッションはなぜ楽しいのか」ということについて、科学的な視点から考えてみました。

ドラム・パーカッションがなぜ楽しいの?
私が考える理由は、次の3つの快感です。

1. リズム予測が当たったり、時々はずれる意外性からくる面白さと快感
2. グルーヴが生まれることによって、渦や推進力のエネルギーを身体で感じる快感
3. 打面を叩いた衝撃から固有感覚(プロプリオセプション)が生まれ、その予測と一致で生まれる快感

この快感は、たぶん、2のグルーヴがあれば、1のリズム予測と3の固有感覚はすでにあるはずです。
つまり、2のグルーヴによる快感があると、自然と3つが揃い、それは最強(?)になるかもしれません。

他の人とあわせたり、誰かに聴いてもらうのも楽しいですが、このような脳と身体で感じる3つの快感が、人をドラム・パーカッションに夢中にさせるのかもしれません。

参考文献(代表的なもの)

BAKAの音楽について

■ 中央アフリカ・ピグミー音楽の構造研究
・Grauer, V. (2009)
 Concept, Style and Structure in the Music of the African Pygmies and Bushmen
 → ピグミー音楽の構造(ポリリズム・ポリフォニー)を比較分析
■ リズム構造(タイムライン・周期)の比較研究
・Poole, A. (2018)
 Comparing Timeline Rhythms in Pygmy and Bushmen Music
 → リズムの周期構造(9・12・24など)や3:2パターンの分析
■ ポリフォニー(多声・多層構造)の研究
・Fürniss, S. (2006)
 Aka Polyphony: Music, Theory, Back and Forth
 → Aka/Baka系の多層的な歌とリズムの仕組み
■ 社会・身体・ダンスとの関係
・Bundo, D. (2001)
 Social Relationship Embodied in Singing and Dancing among the Baka
 → 音楽とダンスが社会関係・身体感覚とどう結びつくか
■ Baka音楽の特徴(ウィキペディア)
Baka music(概要)
 → 即興的・反復的・ポリフォニックな構造、ダンスとの一体性

リズム予測と快感

・Kathios, N., Sachs, M. E., Zhang, E., Ou, Y., & Psyche Loui (2024).
 Generating New Musical Preferences From Multilevel Mapping of Predictions to Reward.
 Psychological Science, 35(1), 34–54.
・Kathios, N., et al. (2023).
 Musical anhedonia, timbre, and the rewards of music listening.
 Cognition.

グルーヴ感について

・Stupacher, J., Hove, M. J., Novembre, G., Schütz-Bosbach, S., & Keller, P. E. (2020).
 Musical groove and its relation to motor and reward systems
・Vuust, P., & Witek, M. A. G. (2014).
 Rhythmic complexity and predictive coding: a novel approach to modeling rhythm and meter perception
・Ross, J. M., Iversen, J. R., & Balasubramaniam, R. (2020).
 Motor simulation theories of musical rhythm perception
・大阪大学大学院 人間科学研究科(2024)
 Active Inference in Music Perception: Motor Engagement to Syncopation Modulates Rhythmic Prediction Error

「固有感覚(プロプリオセプション)」について

・Proprioception(Wikipedia)
 身体の位置や動きを感じる「固有感覚(プロプリオセプション)」について
The Impact of Body Percussion on Neuropsychological Aspects with Special Reference to Tabla and Pakhawaj
 打楽器演奏と身体感覚・神経心理学的側面について 

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